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わかちあいに癒される
緩和ケア病棟では毎年秋になると『遺族会』を開催しています。案内状をお送りするのは、前年度に緩和ケア病棟で大切な方を看取ったご家族としており、今年の対象は180家族を超えました。おかげさまで、今年は約30家族50名あまりのご遺族が、会場となった緩和ケア病棟のデイルームに足を運んでくださいました。当日はデイルームに大きなスクリーンを設置し、参加くださった皆さまの大切な方々の在りし日の一瞬を切り取った数々の写真を写しだしました。そうして6つのテーブルに分かれて集ったご遺族の皆さま方とスタッフとで、「あのとき」「あのあと」「いま」について語り合いました。
ご遺族の皆さまには、決して同じではないけれど、体験した感情や思いには他の方々とも近しく共有できるものもあったようです。語ったり、聴くことが、癒し・癒される体験になったのでしょう、涙を流しておられる方も少なからずありました。悲しみの表現はさまざま、まだ混とんとした悲嘆のなかにあって言葉も出ない方もありましたが、濃密な時間を過ごした場(緩和ケア病棟)に足を運ぶことや、スタッフに再会することが少しの慰めになったのであれば幸いに思います。私たちスタッフもまた、ご遺族の皆さまとの語らいから救いや学びをいただくことが出来ました。
喪失体験はつらく悲しいものですが、そうした中からも残された人は何かを得て未来に向かって生きていくのだと思います。一歩一歩。
合掌
緩和ケア病棟 看護師長
柏谷 優子
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